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菓子屋のAnother Work(8) No.191

「なごみの米屋」は明治32年(1899)に初代・長蔵が地元産芝栗の甘煮を練りこんだ栗羊羹を成田山新勝寺の参道で製造販売したのが始まりです。大正の初年頃から、成田詣での土産は「米屋の栗やうかん」が定番になりました。30軒近い羊羹屋が軒をつらねていた時期もありました。成田が「羊羹の町」であることを、訪れるお客様にお伝えしたい…、そんな思いで成田山表参道・なごみの米屋總本店の裏手に『成田羊羹資料館』はお目見えしました。
2階の常設展示場には、かつて参道で販売されていた10数店の60余点もの羊羹のパッケージ・コレクションがあります。多様な意匠に当時の賑わいが伝わってきます。当店が開発した密封銀紙流し込み羊羹や戦時中の巻き取り式缶詰羊羹、戦後の缶入り水ようかんなど時代の先駆け商品も紹介しています。慰問品の羊羹のおいしさを綴った戦地からのお便りの展示は、この町のもう一つの歴史を伝えています。
1階には半年替わりの企画展示があります。「米屋百年の歩み」「羊羹の話」「お菓子の昭和史」「成田の風景 いま・むかし」「和菓子の掛紙・包装紙」などテーマは多彩です。現在開催中の「成田をめざす鉄道の歴史」展には、多くの鉄道ファンが訪れています。 羊羹資料館の近くには、室町時代の永禄の昔、ご本尊不動尊明王像を当家で仕守りしておりましたご縁の「お不動様旧跡庭園」があります。どうぞごゆっくり門前町成田の散策をお楽しみください。
諸岡 靖彦(なごみの米屋 店主)