西川屋老舗の初代が考案したという
「ケンピ」は、小麦粉と砂糖を水で練り、細く切って焼き上げた菓子である。その特徴は、とにもかくにも堅いこと。歯が立たないとは、この菓子のことだ。
ところが口に入れ、唾液に触れさせてから噛みしめると、「ケンピ」は豪快にくだける。そして、豊かな小麦の香りと素朴な甘さがあふれ出す。
だから、軟らかい菓子が全盛の昨今でも「ケンピ」の人気は不動。高知の銘菓といえば、第一にこの頑固にして明快な菓子の名が挙がるのだ。
土佐の男は「いごっそう」、頑固で強情だとはよく言われることだが、菓子もまた、その気風を映す。そして、12代を継いできた当主が、店の原点ともいうべきこの菓子の命である小麦の香りを嗅ぐところから、店の1日が始まるのである。
高知県高知市知寄町1−7−2
TEL 088(882)1734
慶長6年(1601)に土佐に入国した山内一豊公のもと御用商人として仕え、
素麺や麩、菓子などを扱ってきた。初代の名を代々受け継いで12代になる。