銘菓の装い

ホーム > 銘菓の装い 銀座の「お・も・て・な・し」 おとし文 壹 No.191

銀座の「お・も・て・な・し」おとし文  壹

銀座の「お・も・て・な・し」

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 明治40年(1907)、歌舞伎座や新橋の花街で賑わう木挽町の一角に、清月堂本店が創業した。目も口も肥えた上客に鍛えられながら四季折々に季節の和菓子を創っていたが、昭和になって「おとし文」という銘菓が生まれた。
 玉子餡を漉し餡で包み、蒸気でふわっと蒸し上げた菓子で、ほろほろとしたはかない口溶けが特徴。少々小ぶりのサイズも、風趣に富む菓銘も品が良い。
 だが、この菓子の真骨頂は、一見繊細に見えて、黒文字楊枝を入れてもばらばらに崩れない絶妙の湿りにある。美しく、おいしく、食べやすい。さりげなく気が利いていること、それこそが銀座のもてなしだ。
 ここに紹介する「壹」は、「おとし文」を一まわり大きくして、個包装にした新製品。銀座発祥で最古の菓子舗から、小粋な手土産がまた一つ誕生した。

和菓子は日本の心と文化を伝えるものとして、掛け紙や包装紙にも気を配っている。掛け紙は季節により、桜、アジサイ、朝顔、萩、紅葉、椿と変わる。 おとし文(右)と、おとし文「壹」(左)。味の要の黄身餡は、岩手の契約農場から届けられる新鮮な卵に、徳島産の和三盆を加えて作られる。

清月堂本店

東京都中央区銀座7-16-15
TEL 03(3541)5588


今年で創業108年。新橋演舞場のすぐ近くにある本店は、1階に店舗、2階にはゆっくりお茶とお菓子が楽しめる
「清月茶房」がある。