銘菓の装い

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「老い」も「若き」も老伴

「老い」も「若き」も

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 他に類を見ない菓子である。片面は最中、ところが反対側は羊羹。江戸時代から伊勢詣の人々で賑わい繁栄してきた松阪の名物菓子、「老伴」だ。
 最中の側に描かれた不思議な模様は中国の古瓦の写しで、中央は幸せを呼ぶコウノトリ、両翼の上には「延年」という文字が描かれているのだそうだ。太陽を表しているという、すりガラスのような光沢を持つ赤い羊羹とも相まって、めでたさが匂い立つ。
 しかし、古来、めでたい菓子ほど甘いのが決まり。おまけに、大きい。覚悟を決めて口にする。と、あっさりとした甘さの羊羹と香ばしい最中の相性の良さに驚かされる。さらに、この菓子が430年も前から作られていると聞けば、誰もが目を丸くするはずだ。
 驚きは、幸せの種。老いも若きも思いきり驚いて笑顔になりたい。

和菓子は日本の心と文化を伝えるものとして、掛け紙や包装紙にも気を配っている。掛け紙は季節により、桜、アジサイ、朝顔、萩、紅葉、椿と変わる。 おとし文(右)と、おとし文「壹」(左)。味の要の黄身餡は、岩手の契約農場から届けられる新鮮な卵に、徳島産の和三盆を加えて作られる。

柳屋奉善

三重県松阪市中町1877
TEL 0120(51)0138


天正3年(1575)、近江の国で創業。蒲生氏の御用菓子司だったが、蒲生氏郷の国替えに伴って伊勢・松阪に移った。 「老伴」は創業時から作り続けている銘菓。