銘菓の装い

ホーム > はらり溶け出す「ふるさと」 炉ばた No.194

炉ばた

はらり溶け出す「ふるさと」

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 「炉ばた」は、秋田に三百年以上前から伝わる、小豆粉と和三盆糖で作る秋田諸越を洗練させた菓子である。
 かおる堂の初代が、戦後、堅い菓子だった秋田諸越を食べやすい堅さに工夫して一口サイズにするとともに、和三盆糖の純度を高めて口溶け良く、品のよい甘さにしたことで、普段着の菓子は手土産にも恰好の菓子となった。
 形も愛らしい。箱ぞり、米俵、酒樽、杉板、香梅、農家、踏み俵で遊ぶ童女、秋田大蕗、天神様、すわり猫、なまはげ、嬰詰め(赤ん坊を入れておく藁籠)の12種類。いずれも秋田の歴史や風土のなかで生まれた郷土の宝物だ。口に含めば、ふるさとが溶け出す。
 「炉ばた」は、今も手仕事で作られている。職人が木型から菓子を打ち出すトントンという澄んだ音が、この先も百年、二百年と続きますように。

味は、小豆を軽く焦がした「こがし」と抹茶、焼き色をつけた「焼き」の3種類。箱の意匠にも、秋田の風趣が香る。 なまはげ諸越。焼き諸越と抹茶諸越で、男鹿の奇習「なまはげ」と、秋田の祭り「竿燈」を形どっている。

かおる堂

秋田県秋田市川尻町大川反170-82
TEL 018(864)4500


大正11年(1922)に、秋田諸越の専門店として創業。
不易流行の精神を大切に、豊かで美しい秋田の四季をお菓子にうつし取り、地元秋田の素材を大切にした菓子作りを続けている。