銘菓の装い

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カネール

伝統を継ぐ「新しい」形

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 京都旅行のお土産といえば「八ッ橋」。
買って帰れば必ず喜ばれ、ニッキの香りが、その旅がとびきりだったことを雄弁に語ってくれる。生八ッ橋もいいが、およそ三三〇年もの歴史を持つ焼き菓子「聖護院八ッ橋」ならなおさらのこと。その名菓のおいしさを引き継いでいるのが“新しい形の八ッ橋”と銘打ったこの菓子だ。
 薄く焼き上げた「八ッ橋」を巻くだけのシンプルな製法だが、強く巻きすぎると堅くなり、繊細さが失われる。薄く、かつ歯ごたえよく。すべての工程に伝統の技が潜む。
 現代人の感性に響くモダンな造形。一方で、巻き終わりのカーブには民具のような温かさも感じさせる。そして口のなかで広がる異国のあえかな香り。気が付くと、また一本、と口に運んでいる。これが、伝統の菓子の力。

聖護院八ッ橋総本店

京都市左京区聖護院山王町6
TEL 075(761)5151 http://www.shogoin.co.jp/


元禄2年(1689)の創業。近代筝曲の開祖と称えられる八橋検校の墓参に訪れる人に向けて、琴の形をした「八ッ橋」を作り、菩提寺である金戒光明寺 常光院の参道で(現在の本店の場所)売り出したのが始まり。