平成18年11月19日、『This is Belgium!(これがベルギー!)』と題された切手が発行されました。ビールやムール貝料理をはじめとするベルギーの豊かな食文化を紹介するこの切手シートのなかに、チョコレートとワッフルが登場しています。
ワッフルの語源はオランダ語の「格子縞」で、地域伝統の菓子であることがうかがえます。ゴーフルとも表示されるワッフルの歴史は古く、修道院のミサで聖餅とされたのが起源といわれます。12〜13世紀には、ベルギーの各家庭で作られるようになりました。また、日本には明治時代に紹介されましたが、餡をはさんだ鯛焼きのようなものだったそうです。
切手のワッフルは、ブリュッセルタイプといわれる四角い形で、大別すると他にリエージュタイプといわれる丸い形のワッフルもあります。このタイプは片手で持つことができるので、ベルギーでは歩きながら食べる習慣が定着しています。
一方、チョコレートは、第3回でもご紹介したようにアステカ帝国からスペイン人が持ち帰り、17世紀には全ヨーロッパに広まったものです。なかでもベルギーは国をあげてチョコレート作りを奨励し、チョコレートという名称使用についても厳しい基準を設けて、品質保持に努めてきました。首都ブリュッセルの空港には、飛行機や砂漠の風景などをかたどったチョコレートの工芸菓子が展示されていますが、ベルギーがチョコレート文化の中心であるという誇りを感じさせるものです。
ベルギー各地のチョコレート店は、様々に工夫を凝らしながら日本にも出店して評判を呼んでおり、欧州チョコレート市場においても確固たる地位を築いています。
村岡安廣