美食とは縁遠い国といわれるイギリスですが、さまざまな食品がイギリスによって生み出され、世界中に広まっています。
菓子の中でも、チョコレートはスペイン人が欧州に飲料としてもたらし、1820年にはオランダでココアとして売り出されましたが、現在の固形チョコレートは1847年にイギリス・ブリストルのフライ社によって作られたのが始まりとされています。
また、1872年にイギリスを訪れた岩倉使節団は、ロンドンの西方レディングの町のビスケット工場を見学し、工業製品としての菓子の大量製造に驚いています。機械化された工場で大量に製造されるビスケットやキャラメル、チョコレートなどの菓子は、まさに近代の象徴でもありました。
近代の象徴として、絵葉書も同様に人気を博しました。平成6年(1994)、イギリスで発行された「絵葉書100年記念切手」では、当時の海辺をテーマにした絵葉書が紹介され、なかにソフトクリームや飲料(35ペンス切手)、クレーンゲームの景品になっているチョコレート(41ペンス切手)が登場しています。
実は、41ペンス切手は同じく100年前の1894年にテムズ川に架けられたタワーブリッジの100周年も記念して発行されたもの。タワーブリッジのクレーンゲームで獲得した景品のチョコレートを犬が持ち去っている様子が描かれています。
村岡安廣