欧米では、クリスマス・シーズンに数多くの菓子が作られます。日本にも伝わった南蛮菓子の「鶏卵素麺」は、ポルトガルではクリスマスケーキの飾りとして大切な役割を演じています。
南半球に位置するニュージーランドは、かつてイギリス領であり、現在もイギリス連邦王国の一国であることからイギリス風のクリスマスケーキが供されています。しかし、ニュージーランドのクリスマスは夏。クリスマス切手の趣きもいささか異なるようです。
1993年、ディッケンズの『クリスマス・キャロル』で有名になったクリスマス・プディングを描いた切手が登場しました。
クリスマス・プディングは小麦粉やドライフルーツ、牛脂、卵、ピールなどを混ぜ合わせ、型に流して蒸し上げたあと熟成させて作る菓子です。イギリスの伝統的なクリスマスケーキで、魔よけの力があるという赤い実をつけたヒイラギの葉をのせるのが決まりとなっています。
2004年には、タルトの上にフルーツをのせたケーキや生クリームをかけて雪を思わせる装飾をしたケーキを描いた切手が登場しました。夏のクリスマスを祝う菓子ですが、冬を連想させるイメージをほどこしているのが目を引きます。
イギリスからは地球の裏側にあたるニュージーランド、遠隔の地で、フロンティア(新開地)であるこの国では、イギリス本国の長い伝統や歴史を重んじる傾向が強いことから、イギリスの伝統様式をそのまま取り入れたクリスマスが行われています。
村岡安廣