わが国同様に伝統菓子を大切に残し、その存在感が大きなものとなっている国の一つにタイ王国があります。
「マジパン」は、粉末のアーモンドに砂糖と卵白を加え、様々な形にして色をつけて作る装飾菓子で、一般には西洋菓子の一種とされていますが、タイでは、この「マジパン」が伝統菓子として生き続け、タイ発祥を思わせるほどの雰囲気が感じられます。
同様に、タイ発祥との説も伝えられる伝統菓子に「鶏卵素麺」があります。「フォイトーン=金色の糸」という名のタイの鶏卵素麺は、形状や食べ方はもちろん、水にさらさないといった製造手順も日本と同じです。かつてはタイの宮廷で食された高級菓子であったところも、日本の鶏卵素麺とよく似ています。
インドなどではポルトガルと同じくクリスマス菓子の装飾をはじめとして、他の菓子の装飾の役割を演じます。マカオではイチゴの代わりに鶏卵素麺が用いられたショートケーキに出会いま
した。
タイでは日本のように単品の菓子として食され、限られた市場などで販売されていましたが、今ではタイの伝統菓子として多くの人々に愛好されています。
マジパンや鶏卵素麺の切手は発行されていませんが、今回は彩りもあざやかな伝統料理切手の中にあらわれたタイの菓子切手を紹介いたします。
村岡安廣